冬の怪談(足跡の怪)其の二
自分のところは宿の他に食堂も営んでいた。その食堂には、たまに恩徳在住の爺様がよく食べに来てくれていた。店に来ればそのまま雑談になるので、たまに車で恩徳の家まで送る仲になっていた。または恩徳方面へ行った時も、その爺様の家まで遊びに行った事もあった。ある日の事、食事をしにきたその恩徳の爺様がぼやいていた。 「この前、三浦さんの奥さんが亡くなった時、三浦さんが土葬にすると決めて大変だった。」...
View Article奇妙な捜索願
上の画像は2007年に書いた、「天保年間の人探し」という記事で紹介した遠野の家庭裁判所前の掲示板に貼り出されていた捜索願の開示が、平成15年9月に終了するというものを撮影したもの。実際の撮影は、平成15年(2003年)だった筈。行方不明となっている人物は、天保元年11月8日生まれの「千葉トリ」さんという、恐らく女性であろう。江戸時代である天保元年は、1830年。明治元年が1868年2月からだから、天...
View Articleどんと焼きの日(2023年1月15日)
1月1日の正月から、あっという間に15日になった。今日は、どんと焼きの日。この日を逃すと、古い御札や正月飾りを来年まで保管しなきゃいけなくなる。実際、過去に一度だけそれを経験している。今日は、午後の3時過ぎに遠野八幡宮へ行って見た。神事にはまだ早いながらも、既にどんと焼きで燃やす予定の正月飾りなどが沢山集まっていた。...
View Article遠野不思議 第九百三十五話「愛宕山地蔵大権現(鱒沢)」
小高い山の頂に、今まで気付かなかった社を見つけて確認しにいってみた。内部を見ると、地蔵を祀っており仏教色が強い。 棟札には「愛宕山地蔵大権現」とある。つまり、この社がある小高い山は愛宕山という事なのだろう。ただ愛宕神社と関係の深い地蔵とは、勝軍地蔵となるが、どうも違う。勝軍地蔵は馬に乗っている軍神とも重なる地蔵だ。当然、火伏せの力もあるとされる。...
View Article遠野不思議 第九百三十六話「獣のトイレ」
車で走っていると、こんもりと小高い場所に社らしきが見えたので、確認する事にした。この道は、今まで何度も走ってはいたが、この社には何故か気付かなかった。内部には「稲荷社」という額があったが、祭壇も何も無くなっていたので恐らくどこかに移転したのだろう。...
View Article馬頭観音トイウモノ
去年の4月に書いた記事「坂道の自転車事故と馬頭観音」がある。昭和59年に、遠野の水光園へ行く途中の坂道で、観光客がレンタサイクルに乗りながら転倒する事故が多発し、死亡者も出たという事故があった。地域の人達は、この事故の要因に以前、道路工事の時に邪魔だった馬頭観音の石碑を移転した事が影響しているのではないかと考え、再び同じ場所に馬頭観音の石碑を戻したところ、事故が無くなったそうである。上の画像は、水光...
View Article遠野不思議 第九百三十七話「石高渡殺傷場の慰霊碑」
「復刻 遠野資料(遠野町の歴史・伝説・口伝)」に「石高渡の殺傷場」が紹介されている。そこには、下記のような事が書かれている。 「遠野町南郊(来内街道)約二十町。来内川沿岸の嶮を石高渡といふ。気仙地方への一間道に当る。阿曽沼時代の刑場此処にあり。南部時代にも追払の如き此の地に於てせりと云ふ。宝暦年間建つる所の供養碑あり。」...
View Article「遠野物語拾遺18(実を結ばない小柿)」其の二
昔、源平の戦があって多くの人が討ち死にをした。その屍を埋めて塚の上に植えたのがこの小柿であるという。その人々の霊によって、花は咲いても実はならないと云われている。 「遠野物語拾遺18」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
View Articleケッコロガシ沢トイウモノ
数日前に「石高渡殺傷場の慰霊碑」を紹介したばかりだが、実はその慰霊碑がある場所は昭和28年に着工され、昭和32年に完成した遠野ダム(俗称来内ダム)のある地である。ただ「石高渡」という地名の読みが伝わっておらず、古老などに聞いても不明となっている。...
View Article獣トイレのデータ回収
聞くと、八幡宮の宮司によって魂が抜かれ、空っぽになった稲荷社の建物。その空っぽの内部に、何やら獣のらしきのウンチが沢山あったので何が来ているのか?とトレイルカメラを仕掛けてみた。約1週間程度仕掛けて写っていたのが、下記に紹介する動物。 動画に映っているのは、ハクビシン。建物内部に入って、何かをしている。ただ、新しいウンチは無かったと思ったがどうだろうか。...
View Article山怪(謎の音系)野生動物に対する知識の欠如
田中康弘「山怪」というベストセラーになるほどに売れた本がある。その作者である田中氏のYouTubeチャンネルがあり、そこでも「山怪」について語っていた。その中で「謎の音系」というカテゴリーの中に、夜の山中で「ギャーッ!!!」という叫び声が聞こえるという話がある。その叫び声が聞こえるのは、複数の地域で聞こえるらしいが、その正体は未だに謎という事である。...
View Article遠野不思議 第九百三十八話「トラツグミ(虎鶫)」
昔、横溝正史の映画「悪霊島」が「鵺(ヌエ)の鳴く夜は恐ろしい」というキャッチコピーで宣伝されていた。その当時もだろうが、現在でも「鵺(ヌエ)って何?」という人はいる。そしてまた「トラツグミって何?」という人も、またいる。...
View Article梨木平(其の四)
遠野には、梨木平と呼ばれる地名が四か所ある。一つは、達曽部と大迫の境界にある梨木平。一つは、琴畑部落にある梨木平。一つは、上郷町来内と遠野町の境界近くにある梨木平。一つは、上郷町にある梨木平。この梨木平を岩手県、いや日本全国規模で探せば、もっと見つかるだろう。上の画像は、実を成さない梨の木で、梨木明神として祀られている。...
View Article鶏と天照大神の二面性
伊勢神宮において、神鶏としてニワトリが飼育されているのは、「古事記」の話からだろう。素戔嗚の乱暴狼藉から、天照大神が天岩戸に引籠った為に、世の中が暗闇になってしまった。そこで他の神々が長鳴鳥(鶏)を鳴かせて祝詞を唱え、踊り騒いで天照大神の興味を引いて天岩戸から出す事が出来た。それから鶏は"朝を告げる鳥"として認識され、様々に昔話にも登場するようになった。ちなみに鶏でも特に白色の鶏が貴重視されているの...
View Article髪切り
ある日の午前中、遠野駅の脇にある飲み屋街を歩いていると、ザックリと切られた髪の毛が道路に落ちていた。その切り口から何やら事件性をも考えてしまったが、それとは別に妖怪髪切りが頭に浮かんでしまったのだった。その妖怪髪切りは、どこからともなく現れて、人が気付かぬうちに髪の毛を切ってしまう妖怪だとされる。そう、切られた事に気付かないという事。この道路に無造作に落ちている髪の毛の束を見て、もしかして気付かない...
View Article遠野不思議 第九百三十九話「カケス(懸巣)」
この前、遠野駅の線路沿いの道を散歩していると、カケスを見かけた。カケスは寒くなると南に移動するそうだから、カケスがいるという事は遠野も暖かくなってきたのだろう。ところでカケスといえば「遠野物語拾遺218話」に、群れをなすカケスの怪異の話が伝わる。...
View Article「現代遠野物語」 第百十七話(中空の声)
佐々木某家の母親が亡くなった。もうすぐ93歳になる手前だった。その母親の葬儀の準備をする為に、兄弟三人に加え葬儀屋さんを交えた四人で打ち合わせをしている最中の事だった。ハッキリとは聞き取れなかったが、何かのフィルターを通したかのような女性の声が中空から聴こえてきた。その声に反応して、皆がその方向を見た。兄弟三人の中の長女がその声に反応して「お母さん!お母さんでしょ!?」と叫んだ。...
View Article雲海(2023.03.31)
昨日3月30日も、雲海が発生していた。そして今朝、3月31日も遠野は朝霧に包まれていたので、久々に高清水山の展望台へと行って見る事にした。途中、カモシカと車が来ても逃げないハクビシンに遭遇。そして、山頂付近にはニホンシカの群れがいた。 舗装道路の雪は、この時期には珍しくまったく無かった。やはり雪が少なく暖かい冬のせいだろう。以前だったら、4月半過ぎにどうにか展望台に来れたくらいだったから。...
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