「現代遠野物語」 第百十一話(黒い蝶)
これもやはり、山口部落での蝶の話になる。新田某さんの祖母は、長く入院しており、亡くなる数日前の寒い冬の日に、病院の看護婦さんから「お宅の部落から黒い蝶が飛んで出たのを見たから近いわよ。」と言われたそうな。黒い蝶は、人の魂の具現化したものとも云われるが、ここでは人の死の予兆として信じられていた様である。
View Article「現代遠野物語」 第百十二話(白装束の女)
大橋鉱山がまだ盛んであった頃、宮守の男が大橋鉱山で働いていた。ある日、急用が出来たので、宮守の実家に帰らねばなくなったと云う。仕事を終え、社宅に戻って準備を調え、大橋を出たのが夜の10時過ぎ。歩いて仙人峠を越えて、軽便鉄道駅を目指して歩き始めたのだと。夜中の12時を回った頃、峠の上の方にガサガサッと、落葉を踏みながら下って来る足音が聞こえたそうな。見ると、白装束の人影がそこにあったと。男は草むらに身...
View Article「現代遠野物語」 第百十三話(闇に消えた女性)
山田さんは、釜石から遠野行きの列車に乗っている最中、小佐野を過ぎた頃からうとうとと眠ってしまったそうである。ふと眠りから覚めたのは、仙人峠を過ぎたあたりであったと。すると誰も居なかった筈の座席の前に、24、5歳くらいの美しい女性が座っていたそうだ。その車両は殆どガラガラの状態で、何故自分の前に、女性がわざわざ座ったのか理解できないでいたという。話しかけると、自分と同じ遠野まで行くのだと。遠野に到着し...
View Article「現代遠野物語」 第百十四話(遠野の忠犬ハチ公)
昔、女子師範学校を出た女性が教師となり、遠野の町から青笹小学校へと通勤していたそうな。その女性になついでいた飼犬も、毎日行き帰りを一緒について行ったそうな。その頃の遠野は、まだ舗装道路では無かった為、女性は換え足袋を持って通勤していたが、気付かぬうちの足袋を落しても犬が探して拾ってくれる程の犬であったと。...
View Article遠野不思議 第八百七十五話「程洞」
以前、「遠野物語拾遺140(程洞稲荷由来)」の記事で、この程洞の地に住み、医療をしてきた宮家の話は書いたが、この程洞に至る事を書いていなかった。...
View Article遠野不思議 第八百七十六話「愛宕延命地蔵尊」
遠野市新町の常福寺に、愛宕延命地蔵尊と呼ばれる像が、鎮座している。これは案内板を読むと、初めは享保二年(1717年)に、小友金山全盛時代に豪商両川覚兵衛が愛宕神社へ奉納し、明治時代になり神仏分離となってから、常福寺に納められたと記している。補足すれば、制作は京都の仏師に頼み、海路はるばる釜石まで運ばれてから、遠野に持ち込まれたと云う。両川覚兵衛は別に、愛宕神社の石段も寄進している。
View Article大荒れだった遠野
26日の夜から雪が降って、降って、27日の朝にはかなり積もっていた。それが殆ど粉雪なもので、日中の強風で遠野全体が地吹雪が舞う日だった。 車で走っていても、その地吹雪の直撃を受けると、全く前が視えない為に、取り敢えず車を停めて過ぎるのを待つしかない。...
View Article笊と箕
遠野地方では、子供に対して「笊を被ると背が伸びない。」と言って、子供に笊を触れさせないようにしていた。これは、子供が笊を魚獲りに持って行かせない為の言葉であったようだ。...
View Articleあけましておめでとうございます(2018.01.01)
新年、あけましておめでとうございます。今年も、早池峯神社への参拝から始まりました。と、その前に。恒例の、神遺神社。今年の元旦の夜は妙に暖かく、そのせいなのか早池峯神社方面へ向かう車が多いように感じた。しかし、この、三女神が各山々へ別れた神遺神社に立ち寄る車は無かったように思える。...
View Article二つの初日の出
元旦の朝は靄に包まれていた。昨夜は、雨の様な雪が降っており、気温がかなり高めだった。早池峯神社も、いつもより暖かく驚いたものだった。この暖かさが水蒸気を発生させ、遠野は雲海に覆われているのだろう。そこで行けるかどうかはわからなかったが、高清水山へ行って見る事にした。 元旦の朝、高清水へ...
View Article雲海で始まる正月
朝から雲海に覆われていた遠野上空は、雲が多いながらも青空が広がっていた。 時間的に、かなり太陽が昇った為、消える前兆として雲が沸騰し始めている。 雲が、沸き立つ様。 遠野盆地全体を覆っていた雲海も、消え去っているところもあるようだ。 数年前、1月2日に雲海に遭遇した事があったが、元旦からは初めて体験した。 こんな感じで、太陽が昇ると靄が消滅していく。...
View Article初夢は?
遠野の卯子酉神社へ行くと、沢山の恋の願いが成就されたいと、赤い布切れに結ばれ、それを待っているかのよう。平安時代は俗に王朝時代とも呼ばれ、沢山の恋の歌が詠まれていた。有名な、小野小町の歌がある。 いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣を返してぞきる...
View Article遠野物語の山の舞台は、早池峯より東側の山に多し
「遠野物語」の舞台の中心は?と問われれば、やはり佐々木喜善の住んでいた山口部落を中心と答えるだろう。そして「遠野物語」の数多くの話の舞台は、山となる。その山に関してだが、有名なマヨヒガの話は白望山周辺となる。その白望山は、遠野盆地の東側に位置する山でもある。...
View Article食べてすぐ寝ると牛になる
自分が小さな頃から「食べてすぐ寝ると、牛になるよ!」と言われていた。要は、怠け者のと言いたいのだと思っていた。確かに、食べて寝ると食べた物が体に蓄積され、太ってしまう。太っているのは、運動量の少ない=怠け者と思われがちだと理解していた。ネットで意味を検索すると「食事をした後に、すぐ、横になったり、眠ったりするのは、行儀が悪いので、...
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