遠野物語拾遺103(里人の意識)
同村字山口の火石の高室勘之助という老人が中年に、浜歩きを業としていた頃のことである。ある日大槌浜から魚を運んで帰る途中、山落場という沢の上まで来て下を見ると谷間の僅かの平に一面に菰莚を敷き拡げて干してあった。不思議に思って、馬を嶺に立たせて置いて降りて行って見たが、もう何者か取り片づけた後で、一枚も無かったという。この老人は明治の末に八十三で死んだ。これはその孫に当たる者から聴いた話である。...
View Article白望山(白見山)の語源(其の二)
以前の白望山の語源は、九州の銀鏡(しろみ)から来ているのでは無いかと書いた。実は、それを裏付ける様な内容が「米良史 菊池氏を中心とせる」に記されていた。 「古事記」に登場する木花咲耶姫と共に、醜いとされる磐長姫の話は有名だが、その磐長姫の醜さが銀鏡神社の由緒に記されているが、それを分かり易く紹介している。...
View Article女の怪異(神霊か妖怪か)
此男ある奥山に入り、茸を採るとて小屋を掛け宿りてありしに、深夜に遠き処にてきやーと云ふ女の叫声聞え胸を轟かしたることもあり。里へ帰りて見れば、其同じ夜、時も同じ時刻に、自分の妹なる女その息子の為に殺されてありき。 「遠野物語10」...
View Article「遠野物語65(巌の女神と安倍氏)」
早池峰は御影石の山なり。此山の小国に向きたる側に安倍ヶ城と云ふ岩あり。険しき崖の中程にありて、人などはとても行き得べき処に非ず。こゝには今でも安倍貞任の母住めりと言云ふ。雨の降るべき夕方など、岩屋の扉を鎖す音聞ゆと云ふ。小国ね附馬牛の人々は、安倍ヶ城の錠の音がする、明日は雨ならんと云ふ。...
View Article「遠野物語拾遺265(葬式での禁忌)」
葬式に行って野辺で倒れた人は、三年経たぬうちに死ぬといわれるが、これには例外が多いそうな。佐々木君の知人も会葬の際に雪が凍っていた為に墓で転んだことがあってその後三年以上経つが、依然として健康だということである。 「遠野物語拾遺265」...
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