「遠野物語拾遺70(化け栗の正体)」
遠野町字蓮華の九頭竜権現の境内に、化け栗枕栗などという栗の老樹 がある。権現の御正体は即ちこの樹であって、昔は女を人身御供に取っ た。そのおり枕にして頭を乗せていて、人を食ったのが枕栗であるという。 「遠野物語拾遺70」...
View Article「遠野物語拾遺72(狼の権威)」
字山口の瀬川春助という人も、それより少し前に、浜へ行って八十円の金を盗まれた時、やはりこの神を頼んで来て罪人がすぐに現われ、表沙汰にせずに済んだ。明治四十三年に字本宿の留場某の家が焼けた時には、火をつけた者が隣部落にあるらしい疑があって、やはり三峯様を頼んで来て両部落の者が集まって祭をしたが、その時は実は失火であったものか、とうとう罪人が顕われずにしまった。...
View Article「遠野物語拾遺73(呪い返し)」
この祭が終ると、すぐに三峰様は衣川へ送って行かなければならぬ。ある家ではそれを怠って送り届けずにいた為に、その家の馬が一夜の中にことごとく狼に喰い殺されたこともあったという。 「遠野物語拾遺73」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
View Article「遠野物語70(オクナイサマ)」
同じ人の話に、オクナイサマはオシラサマの在る家には必ず伴ひて在す神なり。されどオシラサマはなくてオクナイサマのみ在る家もあり。又家によりて神の像も同じからず。山口の大同に在るオクナイサマは木像なり。山口の辷石たにえと云ふ人の家なるは掛軸なり。田圃のうちにいませるは亦木像なり。飯豊の大同にもオシラサマは無けれどオクナイサマのみはいませりと云ふ。...
View Article遠野三山を見渡す荒神様
遠野三山を見渡せる事の出来る、荒神様を祀る場所は、冬の晴れ間が広がっていた。荒神様の御堂の右斜め背後には、石上山が。御堂側面の北方に、早池峯が。そして御堂左前方に、六角牛山が。しかし白かったのは、早池峯山だけであった。 荒神様の御堂を斜めから見ると、白い化粧を施した早池峯の姿がクッキリと見える。 早池峯が見えるのは知っていたが、白化粧をした事により、早池峯の存在感が浮き上がっている。...
View Article「遠野物語拾遺80(大同)」
山口の大同の家のオシラサマは、元は山崎の作右衛門という人の家から、別れてこの家に来たものであるという。三人の姉妹で、一人は柏崎の長九郎、即ち前に挙げた阿部家に在るものがそれだということである。大同の家にはオクナイ様が古くからあって、毎年正月の十六日には、この二尺ばかりの大師様ともいう木像に、白粉を塗ってあげる習わしであったのが、自然に後に来られたオシラサマにも、そうする様になったといっている。...
View Article「遠野物語拾遺83(狩の神)」
オシラ様を狩の神と信じている者も多い。土淵村の菊池という狩人の家に、大切に持ち伝えている巻物には、金の丸銀の丸、オコゼ魚にオシラ様、三途縄に五月節句の蓬菖蒲、それから女の毛とこの九つを狩人の秘密の道具と記し、その次にはこういうことも書いてある。「狩の門出には、おしらさまを手に持ちて拝むべし。その向きたる方角必ず獲物あり。口伝」...
View Article「遠野物語69(イエス・キリスト)」
今の土淵村には大同と云ふ家二軒あり。山口の大同は当主を大洞万之丞と云ふ。此人の養母名はおひで、八十を超えて今も達者なり。佐々木氏の祖母の姉なり。魔法に長じたり。まじなひにて蛇を殺し、木に止れまる鳥を落しなどするを佐々木君はよく見せてもらひたり。...
View Article「遠野物語拾遺88(足跡)」
遠野の町の村兵という家には御蔵ボッコがいた。籾殻などを散らしておくと、小さな児の足跡がそちこちに残されてあった。後にそのものがいなくなってから、家運は少しずつ傾くようであったという。 「遠野物語拾遺88」...
View Article「遠野物語拾遺90(怪異の判断)」
同じ綾織村の字大久保、沢某という家にも蔵ボッコが居て、時々糸車をまわす音などがしたという。 「遠野物語拾遺90」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー...
View Article森と人のミステリウム
何度か、このブログでも使用させていただいている金子富之氏の絵画展が、今度は福島県で開催される。 森のはこ舟アートプロジェクト2014 森と人のミステリアム (現代絵画表現から元型への回帰) 日本画家 金子富之 会場 大和川酒蔵北方風土館(喜多方市) 【昭和蔵・天空回廊・大正ロマン室】 会期 2014.12/15(月)~12/28(日) 9:00~16:30...
View Article「遠野物語拾遺275(12月5日)」
十二月は一日から三十日までに、ほとんど毎日の様に種々なものの年取りがあると言われている。しかしこれを全部祭るのはイタコだけで、普通には次のような日だけを祝うに止める。すなわち五日の御田の神、八日の薬師様、九日の稲荷様、十日の大黒様、十二日の山の神、十四日の阿弥陀様、十五日の若恵比寿、十七日の観音様、二十日の陸の神(鼬鼠)の年取り、二十三日の聖徳太子(大工の神)...
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