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Channel: 不思議空間「遠野」 -「遠野物語」をwebせよ!-
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遠野不思議 第七百五十八話「西教寺」

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松崎町海上にある、浄土真宗大谷派の寺院。寺伝によれば、開山は天文二年(1533年)との事。当初は天台宗であったが、改宗して東本願寺末となり、開基は行正と云う和尚であったと。本尊は、阿弥陀如来となる。元禄年中(1688年~1703年)に本堂を焼失し、草庵を作って過ごしていたが、その後、五世智円代に再興したと伝えられる。

宝永年間の事であると云う。土淵方面に知行地を有する沢里又右衛門と沢里五郎右衛門という南部家の金庫番であった家臣がいた。

或る日の事、沢里氏が知行地土淵の足洗川で釣りをしている最中、懐の財布が重くて邪魔なので、川辺の柳にかけておいたまま忘れて帰宅したのだと。その後に、その柳の側を通ったのが、西教寺の住職、智円であったと。この財布を持ち帰り見たところ沢里の証文が入っていた為、早速沢里家まで足を運び、返しにいったという。その感謝の気持ちとして、大工6人、木挽3人、屋根萱には気仙から3人、畳さし1人、左官2人を差し遣わせて本堂を再建したと云う。

尚、智円が財布を沢里家に届けた時、謝礼金を頂き、そのお金で田地を買い、毎年正月に御礼として米五升を届け続けたという。

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