Quantcast
Channel: 不思議空間「遠野」 -「遠野物語」をwebせよ!-
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1367

遠野ブラック長者?

$
0
0

遠野の土淵村水内の長者は、使用人にも馬にも風の碑も雨の日も休みを与え
ずに働かせていた。五月の節句の或る日、他の家では畑仕事を休んでいたが、
その長者の家では相変らず田掻きをさせていた。そのうちに馬が動かなくな
ったので鎌で馬の頭叩こうとしたら、誤って馬の首を斬り落としてしまった。
馬の首はクワッと目を見開いて長者の家を睨んで死んだ。それから長者の家
は傾いて貧乏になったという。

                                「岩手民話伝説辞典」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ロシアの農奴解放では、領主に対する日頃の怨みが爆発して、農奴が鋤や鍬を武器にし領主を襲った歴史がある。また遠野では、南部時代に家臣である小笠原伴蔵の末家の者が、この来内の名主であった為、この来内地域を厳しく取り締まり、地域農民の恨みを買っていたのだという。その為か、一揆が起きた時には、真っ先に、名主であった小笠原家が襲われ、建物は取り壊されたという。昔、歴史で習った言葉「百姓は、生かさぬ様に、殺さぬ様に」というのは、まさに百姓をギリギリまで休ませず働かせる行為であったのだろう。

現代でもブラック企業と呼ばれる会社は、多々ある。休まず仕事をする事は美徳であると説いているようでもあるが、それにより怨みが募り、この物語のように、最後は会社そのものを崩壊させる可能性があるのかもしれない。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1367

Trending Articles