
いわゆるキツツキ(啄木鳥)と呼ばれるのが、このアカゲラ。他にもアオゲラやコゲラがいるが、一番目に付きやすいのが、このアカゲラとなる。以前、某人物が「早池峯神社で木霊の声を聞きました!」と騒いだ事があった。木霊の声とは何かと云えば、映画「もののけ姫」に登場する白く小さな妖精のようなのが発する音から、木霊と思ったようだ。鳥の啼き声がピチークパーチク、ホーホケキョ、カッコーなどなら、なんとなくわかるが、キツツキの鳴き声は、そうそう聞いた人がいるとは思えない。ましてや知識として、キツツキは木を突くという事は知っていても、それがどんな音を発するのかは、実際にはわからないだろう。
この動画には、キツツキの木を突く不思議な音が響いているが、よく分らない人にとっては鳥の奏でる音と云うよりも、映画「もののけ姫」に登場する木霊の音だと認識する人が多いのかもしれない。

ところでキツツキは「啄木鳥」と書き表す。啄木鳥で思い出すのは、岩手出身の石川啄木、本名石川 一ではなかろうか。啄木のペンネームは、啄木鳥から取ったという。上京している最中に結核の発病があって1903年(明治36年)2月、父に迎えられて故郷である岩手に帰った。その実家で療養をしている時「キツツキが木を叩く音が聞こえてきて、その音にいつも慰められた。」という。それからが、ペンネーム石川啄木の始まりであった。
ただ啄木というペンネームの由来は「好きだったから。」という理由が一般的に伝わっている。確かに療養中に聞こえたキツツキの、木を突く音に啄木は癒されたのもあるのだろう。啄木は、その当時不治の病とされた結核にかかっていた。その結核の症状は、咳がいつまでも続く事でもあった。これは憶測ではあるが、キツツキの木を突く音と自らの長く続く咳が、まるでキツツキの木を突く音と同じだと感じたのではなかろうか。だからこそ啄木はキツツキに愛着を感じ、自らも啄木鳥であるとして「石川啄木」と名乗ったのではなかろうか。