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Channel: 不思議空間「遠野」 -「遠野物語」をwebせよ!-
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遠野物語の発生

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最近、空き家・廃屋調査が行われていた遠野市であったが、少し山に入ったところにも、画像の様な廃屋を見かける事がある。画像の建物内部に入ってみると、アナグマが巣食っていた。今はどうかわからぬが、遠野小学校へ行く途中の歯科医院の空き家にも、アナグマは巣食っていた。こうして人の住まなくなった家には、野生の獣が住みつく場合が多いのだが、特にそれはアナグマの場合が多い気がする。知人の家の小屋にも、知らない間にアナグマが巣食っていたと聞く。
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山中で遭遇するアナグマは、画像のように寄って撮影しても、慌てて逃げようとはしない。ある時は、平気で自分の脇をすり抜けて行った時もあるほど、遠野ではアナグマほど人間を恐れない獣はいないのではなかろうか。気性もイタチ系らしく激しく、熊と遭遇しても熊を追い払う程の気性の持ち主がアナグマである。人間が寄って来た程度では、気にもかけないのかもしれない。
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上郷町の曹源寺は、「遠野物語拾遺187」の舞台でもある。ここでは化物貉として登場しているが、そもそも貉は狸似ているが、狸では無い獣として認識されていた。「ムジナかタヌキか、タヌキかムジナ」と、動物の体系が定められていない時代のアナグマは、タヌキと同一のものか、その変化した存在という見方もあった。曹源寺には今でも貉堂があり、貉大権現として、アナグマは神に昇格していた。
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先に書いた様に、何故か空き家・廃屋にアナグマが棲みつく場合がある。恐らくそれは廃寺となった寺院でも同じなのだろう。遠野の寺院の歴史を見ても、一旦は廃れてしまった後に、ある和尚によって再興されたという寺は意外に多い。その廃れた時期に、こうしてアナグマが貉として棲み付き、遠野物語に登場するような、不気味な話として作られ語られる場合が多かったものと思える。人を恐れぬ貉(アナグマ)は、格好の不気味な妖怪モデルとなったのだろう。「遠野物語」には掲載されていない話の中にも、貉の登場する話は多くある。また、東禅寺の和尚であった無尽和尚の母親は貉であったとの伝説も伝わる事から、古くから廃寺などに棲み付いたアナグマの姿が目撃され、こうした話が創作されたのだと思う。

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