$ 0 0 ある村に、13歳になる子守り娘がいた。主人の子供をおんぶして歩いているうちに、自分が飢えに堪えかねて、おんぶしている子供をおろして、その腹を切り裂いて殺した。役人に訳を訊ねられると、泣く泣く、こう答えたという。 「主人の子供は毎日いい飯を食っておるから、その飯を食いたさに、そうしました。」 佐々木喜善「遠野奇談」より ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 似た様な話に人間の姉妹のやり取りを擬人化して伝えている「遠野物語53」がある。飢饉の悲惨さは、どれだけの悲劇を招いているのか。