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Channel: 不思議空間「遠野」 -「遠野物語」をwebせよ!-
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遠野不思議 第八百三十一話「座敷婆子(ザシキバッコ))」

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佐々木喜善「遠野奇談」には、座敷婆子なるものの紹介がある。座敷童子は家に棲み付き、その間家は繁栄すると云われるが、この座敷婆子には、そういう話は無いようだ。

土渕の大洞某という男が、上閉伊郡栗橋村の清水という家に泊まりに行った時の事であったと。奥座敷と表座敷の間くらいの部屋に泊まった時、何だか変に眠れない夜中の事、床の間辺りに何者かがゲタゲタと笑っていたのに、うつらうつらしていた意識が戻ったという。布団から頭を上げて床の間の方を見やると、そこには坊主頭の老婆が蹲って布団の男の方を見つつ笑っていたのだと。それからその座敷婆子は、四つん這いになってその男の方に這って来ては後戻りし、それを二三度繰り返すと、再び男に向って笑うのだそうな。男も恐ろしくなったのか、やはり四つん這いになって逃げだしたそうだが、それを家人に見つかり、大笑いをされたそうな。家人はその座敷婆子に慣れているようで「お客さんは、昨夜逆夜這いをされて、さぞお楽しみであったろう」と揶揄されたそうである。

座敷という名が付く婆子であるが、これを座敷ワラシと同列に扱って良いのか疑問になる。ただ言えるのは、座敷に現れる妖怪という意味では、座敷ワラシも座敷婆子も同じなのだろう。想像するに、実際その家に棲む老婆が、客に夜這いをかけにきたとしても、妖怪であろうが、実在の人間であろうが、どちらにしろ座敷婆子とは、恐ろしいものであるのだけは理解できる(^^;

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