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瀬織津比咩の祭祀其の三十六「瀧の本地垂迹(室根神社)」

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わかっているものとして、養老年間に熊野から室根神社に連れてこられた瀬織津比咩の記録が、岩手県では最古になっている。しかし現在、室根神社に瀬織津比咩の名前は無い。

ところで室根神社の本殿の脇に水場がある。

そこにどっかりと鎮座しているのは、不動明王像であった。室根三十三観音の中の不動明王像は、他の観音と離れて水源の場所に鎮座していた。この室根神社から室根山の頂へ行くには15分程度で行く。楽をするなら、上の展望台まで車で行けば、5分程度で行く事が出来る。つまり、神社そのものが山の上に位置しているという事。
不動明王像の鎮座する場所には水が殆ど流れていない。最近の好天が続いた影響があるのかとも思ったが、考えてみると山の水源というものは僅かな水量が殆どである。

妙見曼荼羅を見ても、紫微宮や滝があるのは曼荼羅の真ん中から下の方にある。山というものは、雨水を受け山全体にその水を染み込ませて、ゆっくりと水源から流して、山から下るほどにその水量は増えていくもの。豊かな水量を誇る滝などは、山の中腹より下にあるのであり、山の頂には滝は無い。

その滝は、神社よりずっと下がった下にある。名前を姫滝という。

三十三観音のある地を水源としてる滝が姫滝であるのだが、古老に聞いてみると「なんでも本地垂迹の様なものらしい。」という答えが返ってきた。

この姫滝は、本地を三十三観音の中の不動明王とすもので、その垂迹は、姫滝である女神という事になる。それはつまり、熊野から室根神社に連れてこられた滝神である瀬織津比咩という事になるのだろう。瀬織津比咩の名が無くなった室根神社ではあるが、瀬織津比咩の祭祀の形が妙見曼荼羅の如く、室根山の中腹に残っていたという事だろう。

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