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Channel: 不思議空間「遠野」 -「遠野物語」をwebせよ!-
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遠野の山の星話

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古くは東峯と呼ばれた早池峯だが、東は太陽が昇る意味を成す漢字である。遠野に住んでいて、北に鎮座する早池峯を東峯とは言い難い。方向としては盛岡側から見た場合、確かに早池峯は東峯と言えるだろう。つまり、東峯という呼称は盛岡南部が付けたもので、それが一般的になったものだろうと想定する。遠野で太陽が昇る山とは、六角牛となるだろう。

こうして天の川を撮影してみると、天の川というものは同じものでありながら所と場所によって、見え方が違うという事を感じる。天の川が、龍が天に昇ったものとしての伝承があるのは、龍そのものが陰獣に位置する事に関わっている気がする。

江戸時代に星が広がる夜空とは、月も太陽も無い真っ暗闇であると。その暗闇に暗躍するのは盗人などの罪人だという意識が広まったきっかけは、石川五右衛門である。石川五右衛門は庚申の夜に生まれた星の夜の申し子みたいな存在と認知された。また、暗闇には魑魅魍魎、妖怪が跋扈するという意識もあり、陰獣である龍もまた闇の住人の認識から、天に昇って天の川となったとしても違和感が無い。その天の川だが、遠野郷の中で見る限り、一番早池峯山頂から見るのが綺麗に思える。龍神でもある早池峯大神である瀬織津比咩が鎮座する早池峯山頂からの龍である天の川が綺麗に見えるのは、その意識もあるのだろうか。

石上山は遠野三山の中に在って、その山の姿から印象が薄い山でもある。しかし遠目から見る様相とは違い、登ってみると、その神秘さを感じる山でもある。その石上山には七夕の伝承があり、山頂には何故かアンドロメダ石という名を持った石が鎮座している。まあ、アンドロメダ石は最近での事だろうが、石上山そのものに星に対する伝承があっての命名であったのだと思う。

天ヶ森は以前、天狗ヶ森とも云われたようだが、伊能嘉矩「遠野くさぐさ」によれば、更なる昔は天鼓森(てんこもり)であったとも伝えられる。だが天鼓(てんこ)の音の発生は定かでは無いようだ。しかし「てんこ」の音を調べると出てくるのは「天狐(てんこ)」であった。「日本書紀」舒明天皇9年に登場する彗星を天狗(あまつきつね)と呼び、狐の存在が密教系から普及するに従い「天狐(てんこ)」という狐が登場した。狐が千年生きると天狐になるとされ、狐の中で最上位に位置されたのは、もはや獣では無く神獣に昇格したからである。それは古事記に登場する天孫族の神々が冠名に"天"が付くのと同じであった。天狗は、天狗であり天狐でもあるのは、空を翔ける神に等しい存在であった。それ故に、天ヶ森は聖域でもあったのだろう。

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