
「遠野の昔話」
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この話は、土淵町柏崎の佐々木新之亟によるもの。これまで遠野でのアズキトギに関してわかっていたのは、小友町山谷のアズキトギの小川。また上郷町に小豆洗田と呼ばれる小川があり、ここでも「ザクリ、ザクリ…。」という響きを成す妖怪が棲んでいたと伝えられている。また「遠野物語拾遺123」には、体中に小豆を付けた得体の知れない化け物の話が紹介されているが、これもまたアズキトギなのであろうか?ところで画像は、竹原春泉「絵本百物語」からの「小豆洗」で、話の内容は殺された小僧の霊が小豆洗いになったとの事。全国にも名前を変え、多くの小豆洗いの話があるが、今回たまたま見つけた遠野の小豆洗いの化け物の話は、かなり稀有ではなかろうか。今まで、小豆洗い、小豆トギとは、音だけの怪異で、人畜無害な妖怪だろうか?などと思っていたが、今回の遠野の話では、人を食べてしまう。調べると、いくつかの地域で「小豆洗おか、人取って喰おか。」と歌いながら小豆を洗っていると伝わるが、その人を取って喰らう具体的な話が遠野に伝わっていたのは貴重だと思う。