$ 0 0 あるところで、少年たちが二人行き会った。一人は年上の子供であったが、他の子供に向ってこう言った。 「お前は今朝ご飯を食べたのか。」 「食べた。」 と一人は答えた。 「そんなら、お湯を飲んだのか?」 「いや、飲まない。」 と答えると、問うた少年は、答えた子供を殺して腹を裂き割って、胃の中にある飯を取って食ったとの事である。 これには、こう云われる。 「食後には必ずお湯を飲むものだ。お湯を飲まぬと食った物がそのまま腹の中で崩れずにおるから。」 佐々木喜善「遠野奇談」より ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 佐々木喜善は、この話をよく聞かされていたという。