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Channel: 不思議空間「遠野」 -「遠野物語」をwebせよ!-
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「遠野物語拾遺269(瓢箪)」

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この地方ではよく子供に向って、おまえはふくべに入って背戸の川に流れて来た者だとか、瓢箪に入って浮いていたのを拾って来て育てたのだとか、またはお前は瓢箪から生れた者だなどと言うことがある。

                                                    「遠野物語拾遺269」
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瓢箪(ひょうたん)の事を、遠野ではふくべと言う。この話はよく、悪い事をした子供に向って、橋の下から拾ってきた子供だから、悪い事をすると再び同じ場所に捨てて来るなどと言い、子供の悪さを戒める効果を狙ってのものである。ただ、瓢箪といえば瓢箪から生れたという伝承は、古代中国や朝鮮半島にも見受けられる。本来は、そちらから伝播されたものが遠野まで辿り着いたものと思える。例えば有名な「西遊記」で、金角大王、銀角大王が持つ瓢箪に吸い込まれ、再びる話があるが、それは瓢箪が人間を吸い込み、再び産み出す器であるという事。日本に点在する前方後円墳もまた瓢箪の形を表し、死人が再び復活する事を願って造られたと云われる。

千成瓢箪といえば豊臣秀吉だが、稲葉山城攻めの時に城に潜入。そして薪小屋に火を放ち手柄をたてた時、城兵を倒した鎗先に、腰から下げていた瓢箪を巻き付け、天狗岩に登って大きな声で勝鬨を上げたという。それから秀吉は瓢箪を馬印に決め、戦で勝つごとに瓢箪を増やし、いつの間にか沢山の瓢箪が集まり、千成瓢箪となったそうな。瓢箪が生命の象徴でもあるなら、千成瓢箪は多くの命の証でもある。つまり戦に勝利し、仲間が多く生き残ったという事であろうから、部下の命を護る意味から千成瓢箪を採用したのではなかろうか。

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